高圧電源の基礎知識
コッククロフト・ウォルトン回路
トランスの巻き線比で高電圧を発生させる
高圧電源の高圧発生方法は幾つかありますが、最も多用されている方法がコッククロフト・ウォルトン回路方式です。
コッククロフト・ウォルトン回路はコンデンサとダイオードを多段式に組み合わせて構成されます。
右図はTwo stage Cockroft Walton Multiplierの回路と動作説明の図です。
最初の電流がID1がD1を通してC1に充電されます。
次にC1に充電された電荷がD2を通してC2にID2の電流が流れC2が充電されて電圧は2倍になります。
この動作を繰り返してID3が流れ、またID4が流れ最終的には、この回路ではトランスの2次電圧を4倍電圧に昇圧できます。
これをコッククロフト・ウォルトン4段昇圧といいます。更に高い高電圧を作るには、
このコッククロフト・ウォルトン段数を増段すればよいわけです。
放電させないために
印加する電圧が高くなるにつれて様々な放電現象を起こしやすくなります。
そのため、高電圧を扱う場合は、安全のために耐電圧を確保することが非常に重要です。
耐電圧は、絶縁物の沿面距離および絶縁距離と電極の形状によって決定されます。
沿面距離
・充電部を保持する場合の絶縁物表面上における距離を指します。
絶縁距離
・充電部を完全に絶縁物で覆う場合の絶縁物の厚みを指します。
高圧出力ケーブルの処理方法
直接ハンダ付けする場合
人体への放電を避けるためにも、高電圧になるものは十分な絶縁耐力をもった絶縁物で覆うか、 他の場所へ放電しないようにグランド電位のもので覆う。
高圧線同士を接続する場合
高圧線同士を接続して高電圧を長く引っぱる場合は、接続部だけ上記のような処理をすることは困難なので、 絶縁耐力のある熱収縮チューブなどで接続部を覆い、チューブを収縮させるようにします。 その際、 チューブの絶縁耐圧に十分な余裕がないと、チューブの絶縁破壊を起こす恐れがあります。 チューブ1枚では絶縁耐圧が不足する場合は、2重、3重にして耐圧を確保してください。 また、ハンダに”とがり”があると、チューブの絶縁耐圧に十分な余裕があっても耐圧破壊を起こす恐れがあるので、 ハンダは丸く仕上げる。