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街路の照明

都市における街路の役割は、目的地へ安全、迅速かつ快適に到達することができるといった交通機能としてのもの、 街路上での立ち話、休憩、散策ができることや、沿道の街並みの眺めといった空間的な機能としての2種類に大別することができます。 特に、空間としての街路はその地域の象徴ともなり得るため、照明計画をたてる際には、空間イメージと調和を図らなくてはなりません。
街路は、その目的によって大きく2つに分類されます。1つは駅から官公庁施設、福祉施設までの経路を主とした駅周辺街路、 もう1つは商業的性質を強くした商店街街路です。また、街路は交通形態によって、歩行者通行帯と自動車通行帯とが分離された歩車分離道路、 歩行者と車が交通空間を共用する歩車共存道路、車道から完全に独立した歩行者専用道路に分類され、空間形態によっては、 オープンモール、セミクローズドモール、エンクローズドモールに分類されます。

照明のポイント

広場を行き交う多くの人々の流れをスムーズに導くために、主動線には、明るく、ムラの少ない機能的な照明計画が求められます。 また、都市空間における市民の憩いの場、ゆとりの空間としての、開放感、楽しさ、親しみやすさなどの演出を心がけることも重要です。 植栽などが配置されている広場では、広場の持つイメージを重視した演出を行い、植栽が少ない広場では、 照明器具のデザインや配置の効果で広場の雰囲気を演出することが望ましい。 全体の統一感のある照明を行い、広場の空間と調和した照明を行うことが重要になります。

駅周辺街路の照明

駅周辺街路は、高齢者、身体障害者等を含むすべての人が安全かつ安心して利用できるよう考慮する必要があります。 道路の移動等円滑化整備ガイドラインが2008年に改定されるなど、道路の整備が進められています。 移動の利便性及び安全性の向上を図るために、適切な照明環境を整備することが大切です。

照明のポイント

駅周辺街路における照明の目的は、歩行者が安全かつ快適に移動できることです。 そのためには歩行者が、歩道上の段差や障害物を視認しやすく、対向者の存在や意図が認識でき、 また、目的地までわかりやすいことなどが重要になります。 移動の円滑化のために必要であると認められる箇所には照明施設を連続して設ける必要があります。 わかりやすい空間構成を図るために特に重要な動線には、照度を高めに設定したり、光のラインを構成することなどが望ましいです。 また、高齢者は若年者に比べ色差を識別する能力が低下するとともにまぶしさを感じやすくなるので、 色の見え方のよい光源を使用するとともに、まぶしさを与えないように照明器具の選定や配置をするよう留意します。 休憩場所などには光だまりを設けて演出するとともに、必要な場所には注意喚起を行うことも大切です。

明るさ(照度)

駅周辺街路の照明における推奨照度は、JIS Z9111の照度基準(表7)を参考にして、その街路の条件などを考慮して決定します。 駅周辺環境は、明るい商業地域が該当することや、高齢者や身体障害者などの身体特性を考慮すると、安全・安心に移動の円滑な通行ができる 明るさとして、交通量の少ない道路であっても平均水平面照度10 lx以上確保することが望ましいです。 さらに大規模駅や中心業務地区等では、それ以上の照度レベルを適用することが好ましいでしょう。 このとき路面にムラがあると障害物が視認しづらくなるため均斉度は0.2以上確保することが望ましいです。 また、横断歩道橋や地下横断歩道は、立体横断施設技術基準(表8)を参考に決定します。 特に地下横断歩道は、防犯上必要に応じてさらに高い照度に設定することが望まれます。
表7 歩行者に対する道路照明の基準(JIS Z9111-1988)
夜間の歩行者交通量 地  域 照度(lx)
水平面
平均照度
鉛直面
最小照度(H=1.5m)
交通量の多い
道 路
住宅地域 5 1
商業地域 20 4
交通量の少ない
道 路
住宅地域 3 0.5
商業地域 10 2
注)
●水平面照度は、歩道の路面上の平均照度。
●鉛直面照度は、歩道の中心線上で路面上より、1.5mの高さの道路に対して直角な鉛直面の最小照度。
表8 立体横断施設技術基準
平均水面照度(lx)
横断歩道橋 20 以上
地下横断歩道
・出入口(入口から出口が見通せないものに限る)
・階段及び通路

100 以上
50 以上

光源の選定

駅周辺街路の照明に用いられる光源は、LED、メタルハライドランプ、高演色メタルハライドランプ、 無電極蛍光ランプ、蛍光灯、高圧ナトリウムランプなどが一般的です。
これらのうち、効率や演色性の面から、LED、無電極蛍光ランプ、高演色メタルハライドランプを選定することが望ましいです。

商店街街路の照明

商店街街路は、主としてある道路区間の中で、商店街の活性化を図り、魅力的な商店街を創造する目的で形成されます。 これらにおいては、人々が単に必要なものを買うだけではなく、ショッピング自体を楽しむことができるような環境づくりが求められます。 夜間においても、人々が安全で快適にショッピングを楽しめるよう、魅力的な照明を行うことは重要です。

照明のポイント

商店街街路の照明は、夜間の歩行の安全性や快適性を確保するとともに、華やかさや楽しさ、にぎわいを演出します。 そして、買い物客を商店街へ引きつけるとともに、商店へと誘導するような照明を心がけます。 そのためには照明が、装飾性、光そのものの演出効果などを備えていることが重要です。 また、商業地域の個性を表現するとともに、雰囲気に調和した照明を行うことが求められます。 昼夜の照明器具の表情は商店街全体のイメージの形成に大きな影響を及ぼしますので、 路面パターン、色彩、ベンチ、プランター、アーケードなどの要素との一体感が得られるようにデザインすることが大切です。 照明計画において注意すべき点は、店舗内・外やウインドーの照明と街路照明との明るさのバランスです。 また、看板灯やネオンなどのあかりが氾濫しがちなスペースでもあるため、街路灯による連続感や統一感を創り出すことも大切です。

明るさ(照度)

商店街街路における推奨照度は、JISの照度基準を参考にして、その街路特有の条件などを考慮して決定します。 歩行者に対する推奨照度は、各々の道路区分に応じて、表9の値を基準として設定します。
商業地域の街路 商業中心街路 車道に併置の歩道 20
商業周辺街路 車道に併置の歩道
人車混合道路
10
15
独立歩道 7
エンクローズドモールにおいては、JIS照度基準を参考にすると、繁華な場合750~200 lx、一般の場合300~100 lxとなっています。 したがって、一般的な明るさのレベルの設定は、各店舗内の平均照度とのバランスを考慮して、 通常店内の1/2~1/3程度の明るさにするのがよいようです。
また、構造上昼間時の自然光の利用ができる場合は、昼光センサーによる人工照明制御システムの導入によって、 晴天、曇天、夜間時などの明るさの状態に対応して照明環境を変化させることができます。

光源の設定

商店街の照明に用いられる光源は、LED、メタルハライドランプ、高演色メタルハライドランプ、無電極蛍光ランプ、蛍光灯、 高演色高圧ナトリウムランプなどが一般的です。特に演色性を重視する場合は、LED、高演色メタルハライドランプ、 無電極蛍光ランプ、蛍光灯、高演色高圧ナトリウムランプが優れています。効率、寿命を重視する場合は、LED、無電極蛍光ランプを使用します。



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