感電について
感電は「電撃」ともいわれ、人体の一部を通して電流が流れることです。 感電の程度は人体を流れる電流の値や、電流の流れる経路に関係があります。 軽いものはピリピリと感じる程度ですが、やけどをしたり、呼吸障害や心臓機能の障害が生じたり、最悪の場合には命を落とすこともあります。
感電
人間の皮膚の抵抗は、電圧が100Vの時、乾燥時で約5kΩ。 湿潤時は約2kΩ。体の抵抗は約300Ωです。皮膚が湿っている時に100Vに触れると、 人体に約22mAの電流が流れ、自力では離脱できなくなります。特にぬれた手での作業が厳禁です。
電流値 | 人体に現れる影響 |
---|---|
1mA | 感じる程度 |
5mA | 相当の痛みを感じる |
10mA | 耐えられないほど苦しい |
20mA | 筋肉の収縮が激しく、自力で回路から離脱できなくなる |
50mA | 相当危険である |
100mA | 致命的な結果を招く |
これらの数値はごく概念的なもので、電源の容量が極めて小さいため、 あるいは回路のインピーダンス(抵抗のようなもの)が大きいため、微弱な電流しか流れない場合は危険が小さくなります。 高電圧になればなるほど、直接電極に触れなくても、空気の絶縁を破壊して放電し、感電する危険が高くなります。 次に示した荷電部分に対する安全距離をとり、これらの電荷部へ接近しないように注意する必要する。
荷電部分の電圧 [kV] | 3 | 6 | 10 | 20 | 30 | 60 | 100 | 140 | 270 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
安全距離 [cm] | 15 | 15 | 20 | 30 | 45 | 75 | 115 | 160 | 300 |
感電時の応急処置
救助
被害者を電流が流れている導体からすぐに離す。 その際、電流が流れている導体にも 被害者の体にも触れないようにし、巻き添え感電に注意する。 すぐに高圧電源を切って回路をアースに落とす。 高圧電源が切れない場合は回路をアースするか、もしくは取っ手が乾いた木製の斧などで入出力ケーブルを切断する。 その際、電気火花が出ないように十分注意する。 回路を切ることもアースすることもできない場合は、乾いた板や衣類といった絶縁物を使って被害者を救助し、 大至急、救急車を呼ぶ。
症状
感電ショックの症状を死亡と混同しない。 感電ショックの症状はひどいやけどだけでなく、意識不明や呼 吸停止、脈拍停止、そう白、硬直などを含む。
手当て
被害者が正しく呼吸していない場合は、直ちにその場で人工呼吸を開始する。
なお事故現場にいる被害者や救助者の命が危ない場合に限り、被害者を近くの安全な場所に移動する。
- 人工呼吸をはじめたら、被害者が自分で呼吸を開始するまで、もしくは被害者を医療機関へ引き継ぐまで、規則 正しく人工呼吸を続ける。
- 人工呼吸をする人が交代する場合は人工呼吸のリズムを乱さないようする。