自発光式LED看板照明
自発光式照明
自発光式照明は看板の表示や表現スタイル、新規性やデザイン性を高めるため多様に進化しており、 分類のされ方や呼称のされ方も、それに伴い多様です。自発光の看板として、LEDなどの発光を見せることで文字表示や 映像表示を行うディスプレイも広義には自発光式の看板の一種とされることもあります。 また、デジタルサイネージとも言われる、広告用の大型液晶ディスプレイなどの表示板もバックライトを伴う自発光式の看板の 一種とされることもあります。 内照式の看板の外側に自発光式の光源を直視できるように一体化したような複合型など、多様な形態が存在します。
自発光式の文字看板の留意点
照度と輝度との混用に対する留意点
旧来から内照式看板において、その明るさを計測評価する場合、看板表面に照度計を向けて、照度計の受光面が、
ほぼ接触するような位置で照度を測定し、看板の明るさを照度(lx)で評価するという慣例も存在します。
多くの他の照明分野では、このような表面の明るさは、輝度計を使用し輝度(cd/m2)で評価されるため、
意図せず照度と輝度が混用されることがあり意思疎通には留意が必要です。
前記の測定法による照度を、輝度の目安とするに当たり、拡散板表面の光の出射を、およそ均等拡散する光放射源と仮定すると、
前記照度(lx)をπ(約3.14)で割ったものが輝度(cd/m2)相当の目安の値となります。
看板パネル面輝度(cd/m2)相当 ≒ 均等拡散(lx)÷ 3.14 現実的には看板表面は理想的に均等拡散する光放射源ではないため
3.14より僅かに高めの数値がよりフィットすることもあります。
また、光源がLEDの場合などで発光面内の明暗のムラを少なくし、輝度分布の均斉度が高い場合、平均輝度が低めの設定でも
暗く感じにくいという傾向もあります。
高彩度な色光の輝度設定の留意点
白色光や僅かに色づいた光色と異なり、鮮やかな色光を内照式文字看板に使用する場合、
同一輝度では高彩度な光色の方が明るく感じることがあります。
これは人間の目が有する特性で、ヘルムホルツ・コールラウシュ(Helmholtz-Kohlrausch)効果とよばれるものです。
例えば、白色の内照式文字看板と、鮮やかな青色の内照式文字看板が隣接して、同一輝度で配置されていると、
鮮やかな青色の文字の方が明るく見えるというような現象です。
高彩度な色光を使用する場合、白色光と類似の明るさの感覚を得ようとするなら、より輝度を減じて使用する必要があります。
また、表面をカラーパネルとし、昼間に光源が非点灯な状態でもカラー表現ができる内照式文字看板において、
表面色に類似した有色LEDを光源として使用されることがあります。この場合、有色LED固有の色再現となるため、
例えば企業のロゴなどのように非常に厳密に色彩が規定されている場合には色の確認が望まれます。
光源の相関色温度に対する留意点
旧来は内照式看板の光源には蛍光ランプが多く用いられていました。
そして、前面プラスチックパネルの白色部が、黄ばんだ印象になることを抑制し、白さを強調するため、
これらに使用される蛍光ランプは一般的に使用される蛍光ランプの昼光色6500K近傍より高い相関色温度、
例えば8000K近傍などの光色が採用されていたことも多くあります。
また、使用する光源が前面プラスチックパネルを透過する際に、短波長側の光が減衰する割合が高い傾向があるため、
一般的には使用する光源の直接的な相関色温度より、前面プラスチックパネルを透過した後の相関色温度は低下します。
よって、前面プラスチックパネルとLEDを使用した内照式看板と、先のような、異なる光源を使用した看板類が混在し、
対比して見られる場合、僅かに黄ばんだ印象になる場合もあり、このような場合は、LEDの相関色温度を高めのものに設定するとよいでしょう。
〔参考文献〕 1) 国土交通省:屋外広告物ガイドライン(案)(2006)